作曲家、ピアニスト、研究家。1959年、石川県金沢生まれ。1970年から1974年までピアノを宮沢明子氏に師事。74年フィリップ・アントルモンに見出され中学卒業と同時にパリへ旅立つ。作曲を独学で学び、ピアノのレッスンに並行して広範囲にわたる作曲家の研究に取り組む。
　1978年、知られざる名作を日本に紹介すべく帰国、研鑽を重ね、現在200人の音楽家を対象として研究、演奏を行っている。エピックソニーよりアルカン選集全8巻をリリース、アルカンブームの火付け役となる。 また、自作曲は100曲を超え、著書に『失われた音楽〜秘曲の封印を解く〜』がある。2002年2月中村攝から金澤攝に改名

　長年に亘り本名「中村 攝」で活動して参りましたが、私のオリジナル作品も既に百曲を越え、自作の出版を検討すべき時期を迎えて、ここに一つの問題が生じて来ました。
　特に海外における出版などを想定した場合、単に「NAKAMURA 作品」となってしまいますと、作曲家、ピアニスト共に「中村」姓が多いため、混乱を招くことが案じられます。近年はスコア上には「Osamu Nakamura da Kanazawa」 と記しており（イタリア古典作家の例に倣って出身地名を名乗る）、これに基づいて郷里の地名を活動名の姓とすることを思い付きまして、この度 「Osamu da Kanazawa」「金澤 攝」 と改めることを決心しました。
　これまで数多くの作曲家たちを調べて実感したことは、それぞれの人の中には出身地の風土や気質が明らかに刻印されていて、人はその土地が生みだした作品であるとさえいえます。当然、私の中にも「金沢」が先天的にプログラムされており、そうしたローカル性を尊重・自覚することが文化活動の原点であるとの思いから、今後の作品や演奏の発表にあたりたいと考えています。